白銀の世界、
忘れられない彫刻の絶景へ。
立山アルペンルートから
黒部ダムへ


※本記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれます

この旅のハイライトとも言える、一番楽しみにしていた日がやってきた。前夜、温泉に浸かりながら何度も思い描いていたのは、まだ見ぬ白銀の世界。朝食を前にしても落ち着かないほど、私の気持ちはすでに、あの神々しい山の上へと向かっていました。

この記事では2日目の立山・雪の大谷・黒部ダムをご紹介します。1日目の富山散策と3日目の黒部峡谷はこちらの記事をご覧ください。

朝食のホタルイカの沖漬け

ホテルの朝食で出会った「ホタルイカの沖漬け」。濃厚なのにくどさがなく、とろりとした旨味が口いっぱいに広がる。「これは絶対に買って帰ろう」と、その場で自分用のお土産に決定。

ケーブルカーと高原バスで
白銀の世界へ

ホテルからバスで立山駅へ向かいます。駅から乗り込んだのは、どこか懐かしさを感じる小さなケーブルカー。貨車を連結した姿がなんとも愛らしく、遊園地のアトラクションのようでもありました。

立山ケーブルカー

ゆっくりと山を登り、美女平へ。さらに立山高原バスへ乗り換えると、車窓の景色は一変します。窓の向こうに広がっていたのは、どこまでも続く白銀の世界。山、谷、道路、そのすべてが雪に覆われ、視界から色が消えていく。眩しいほどの白さに目を細めながら、夢中でシャッターを切りました。

バスの車窓から見える白銀の世界

けれど、本当に圧倒されたのは「山の造形」でした。普段見慣れている山とは、まるで違う。切り裂かれたような谷。鋭く落ち込む斜面。黒々と露出した岩肌。山というより、巨大な岩の彫刻を見上げているような感覚でした。自然が何万年もかけて削り出した、圧倒的な造形美。ただ窓の外を見ているだけなのに、胸が高鳴ります。

バスから見る立山の山の造形

圧倒的な白の壁、雪の大谷

雪の大谷 16mの雪壁

たどり着いた室堂は、まるで別世界でした。視界いっぱいに広がる白。空の青ささえ際立って見えるほど、雪は眩しく輝いています。そして、その中心にそびえていたのが「雪の大谷」。巨大な雪の壁が道路の両側にそびえ立つ光景は、写真で見るよりもはるかに迫力がありました。この年の雪壁は16m。近年でも特に高い年だったそうで、壁の間を走るバスがまるでミニチュアのように見えます。

遮るもののない太陽が照りつけ、雪景色にもかかわらず歩いているとじんわり汗ばむほど。この日は、フォックスファイヤーの「TSサッカーギンガムシャツ」に、パタゴニアの「ナノパフ(キッズ)」、さらにモンベルの「レインダンサーパンツ」を合わせた重ね着スタイル。気温の変化に合わせて脱ぎ着しやすく、結果的に大正解でした。

この日の服装

もうひとつ持っていって良かったのが、サングラス。雪面に反射する日差しがとにかく眩しく、目を開けているのもつらいほど。雪のある時期の立山では、サングラスは必須アイテムだと感じました。私が愛用しているのは、軽くてズレにくいgoodr(グダー)の偏光サングラスです。

簡易アイゼン

一方、足元はかなりの雪道。みくりが池へ向かう道は踏み固められているものの、場所によってはツルリと滑ります。そんな中、大活躍だったのが持参した簡易アイゼン。

雪に覆われたみくりが池は、まだ冬の眠りの中。

けれど、その白の隙間から、ほんのわずかに青い水面が顔を覗かせていました。

静まり返った雪原の中に浮かぶ、神秘的なブルー。春が、ゆっくりと雪を溶かし始めているのを感じます。

みくりが池の青い水面

「雷鳥に会えないかな」そんな期待を胸に周囲を見渡してみたものの、今回は姿を見つけられず。それだけが、少しだけ心残りでした。

冷えた身体を癒してくれたのは、「ますのすし本舗」の「雷鳥の歌」というお弁当。

派手さはないけれど、優しい味付けが疲れた身体にじんわり染み渡ります。壮大な景色の中で食べるお弁当は、どうしてこんなにも美味しいのでしょう。

「雷鳥の歌」お弁当「雷鳥の歌」お弁当

ますのすし本舗「源」は、富山を代表するますのすしでも有名。お取り寄せでも楽しめます。

室堂から見上げる立山連峰は、息を呑むほど神々しかった。「今度は山小屋に泊まってみたいね」と友人がぽつり。その言葉に、私は大きく頷きました。

ただ通り過ぎるだけでは終わりたくない。そう思わせる山でした。

扉の向こうの衝撃、大観峰

立山トンネル電気バスに揺られ、大観峰駅へ。断崖絶壁をくり抜くように造られた駅舎の中は、薄暗く、ひんやりとしていて、どこか閉塞感があります。

けれど、扉を開けた瞬間——世界が一変します。思わず、足が止まりました。

目の前いっぱいに広がっていたのは、エメラルドグリーンに輝く黒部湖。そして、その向こうに幾重にも連なる北アルプスの山々。それまで白一色だった世界に、突然現れた深い青と黒。鋭く削られた山肌。圧倒的なスケールの谷。あまりの景色に、しばらく言葉が出ませんでした。

自然が創り出したというより、「地球そのものの彫刻」を見せつけられているような感覚。今でも、鮮明に思い出せる景色です。

大観峰から見る黒部湖と北アルプス

圧倒的なスケールに
息を呑む、黒部ダム

立山ロープウェイで黒部平駅へ向かいます。このロープウェイには途中の支柱が1本もありません。豪雪から設備を守り、同時に景観を損なわないためだそうですが、そのおかげで車窓いっぱいに大自然が広がります。日本一長いワンスパン方式のロープウェイということもあり、車内は多くの観光客で賑わっていました。

立山ロープウェイからの景色

さらに黒部ケーブルカーへ乗り換え、黒部湖駅へ。地下トンネルの脇を流れる澄んだ湧水を横目に、急傾斜をグングン降りていくスリルはなかなかの迫力。最前列か最後尾では、その傾斜を肌で感じられておすすめです。

黒部湖駅に到着した黒部ケーブルカー黒部ケーブルカー車内

そしてついに、念願だった黒部ダムへ。堰堤に足を踏み入れた瞬間、その巨大さに思わず息を呑みます。山と山の間を、人間の手で塞き止めている——。写真では何度も見てきたはずなのに、実際に目の前に立つと、そのスケール感はまるで別物でした。

さらに上の展望台を目指し、外階段へ。280段の階段は崖に張り付くように設置されており、足元のステップは金網状で下が透けて見えます。高所が苦手な人には、かなりの恐怖かもしれません。友人は残念ながら展望台行きを断念。登り切った先に広がっていた景色は、それでも見る価値のある絶景でした。

黒部ダム展望台からの絶景黒部ダム全景

帰りはトンネル内の内階段(220段)を使って合流。途中にあった「破砕帯の湧水」をひと口飲むと、冷たい水が乾いた喉に染み渡っていきます。

破砕帯の湧水

黒部ダム駅から関電トンネル電気バスに乗り込み、長い長いトンネルを抜けて扇沢駅へ。朝から続いた壮大な山岳ルートの旅も、ここで終わり。 個人でこれだけ複雑な乗り物をすべて手配し、ダイヤを合わせて移動するのは、正直かなり大変です。シーズン初めの混雑の中では、個人手配だけでここまでスムーズに動くのは難しかったかもしれません。今回は、移動の心配をツアーに任せたことで、ただ目の前の景色と、自分の心の動きに集中できました。その選択は、今振り返っても正解だったと思います。

旅の灯を囲む夜白馬姫川温泉リゾートイン マリオンシナノ

バスに揺られて、今宵の宿「白馬姫川温泉 リゾートイン マリオンシナノ」へ。白馬山麓にあるスキー客にも親しまれる、どこかホッとするペンション風の宿です。案内されたツインルーム(和室もあるそうです)で一息ついたあと、夕食前に近くのコンビニへ散歩に出かけました。

白馬姫川温泉 リゾートイン マリオンシナノ

白馬姫川温泉 リゾートイン マリオンシナノの詳細はこちら →

店内には、旅心をくすぐるお土産が並びます。濃厚な「りんごバター」、定番の「雷鳥の里」。どれも、帰ってからもこの旅を思い出させてくれる味です。

店員さんに教えてもらった「サラバンド」というお菓子も印象的でした。雷鳥の里とほぼ同じ味で、少しお得な簡易版とのこと。こうした何気ないやり取りも、旅の記憶になります。

リゾートインマリオンシナノの夕食

待ちに待った夕食は、地元の食材をふんだんに使った和洋折衷の料理。たまたま同じテーブルになったご夫婦が、なんと同郷の方でした。地元の話で盛り上がり、初対面とは思えないほど自然に会話が弾みます。同じ景色を見てきたからなのか、旅先ではこうした距離の近さが生まれるのが不思議です。

食後は、白馬姫川温泉の展望大浴場へ。やわらかいお湯に身をゆだねると、今日一日見てきた白銀の世界や黒部湖の青、そして出会った人との言葉が、静かにほどけていくようでした。

歩き続けた身体がゆっくりと緩んでいく、穏やかな夜でした。

この日に選んだ相棒

雪の大谷では遮るもののない太陽が照りつけ、歩いているとじんわり汗ばむほど。でも少し立ち止まると、標高2,450mの冷気がすぐに体を冷やしてきます。この寒暖差に対応してくれたのが、パタゴニアの「ナノ・パフ・ジャケット(キッズ)」でした。

驚くほど軽く、内側のポケットに本体をそのまま収納できるパッカブル仕様なので、暑くなったらすぐにザックへ、寒くなったらさっと羽織る——その繰り返しがまったくストレスになりません。雪山での脱ぎ着の手間を最小限にしてくれる、頼れる相棒です。

パタゴニア ナノ・パフ・ジャケット

1日目・3日目の記録はこちら → 立山黒部アルペンルート2泊3日の旅(富山・黒部峡谷編)

コースタイム

コースタイム(YAMAP)

これから立山アルペンルートを目指す方の山行が素晴らしいものになりますように…

それでは、また次の山で。山のイラスト